月光-ゲッコウ-
9.三十夜月
「もう3日も食事を食べてくださらないんです。まるで人形の様に何もおはなしになりませんし。このままではお腹の子供にもよくありません。」
ここにきて3日が過ぎていた。
食事も喉に通らず
ベッドからも動く事もままらなかった。
世話をしてくれていた家政婦さんが、帰ってきた社長に様子を報告する。
社長はそれを聞いてあたしに近づくと、あたしの手をそっと握った。
「千歳…なぜ食べない?なぜ何も話さない?」
社長の問いかけにも、反応する事が出来ない。
この3日。
ただただ、涙しか流れてこなかった。
加雁さんの事を考えると、胸が痛くなる。
あたしから連絡がなくて、どうしてるんだろう?
きっといっぱい連絡してきてる。
会いたい
会えない
そればかり繰り返し思っていた。