月光-ゲッコウ-


不安はあったけれど、そのおかげであたしも娘の月も、不自由なく生活が出来ている。



いつか月が父親に会いたいと言ったら、会わせてあげよう。



それが何よりも、社長へのおかえしになると思う。





この道を選んだ事に後悔をしていない。





あなたは元気にしてますか??


幸せに暮らしていますか。


あたしは幸せに暮らしてるよ。


今でも、あたしはあなたの事が好きです…加雁さん。


『月、そろそろおうち帰ろっか?』


そろそろお昼の時間だから、帰らないと。


「やだぁッ!ルナまだいる!」


もぉ


いつもこうなんだから。


帰らせるのも一苦労。


ただをこねるルナを抱き上げると、帰らまいと腕の中で暴れだす。


『明日また連れてきてあげるから、今日は帰ろ?ね?』


「…ぜったいのぜったい?」


目に涙を浮かべながら、ルナは小さな声で言った。


あたしが笑顔でうなずくと、泣き顔を笑みに変えた。


はぁ、良かったぁ。



「明日、俺も一緒に砂場遊びさせてくんない?」


!!?





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