月光-ゲッコウ-
2.下弦の月
「加雁くん、まぁ呑んで呑んで。」
「ありがとうございます。新堂さんもいかがですか??」
『いえ、私は…』
はぁ、疲れる。
あれから1週間。
思ってたよりも早く、ライフモード社長・加雁貢との食事は早く決まった。
社長も最近あたしを手元から離さないし、加雁さんからの誘いもあり、あたしは今この場にいる。
今日の食事の会話に困らない為に、加雁さんの情報を調べて来た。
年齢は32歳。
25歳の時に今の会社、ライフモードをたち上げる。
2年前上場を成し遂げ、今をときめく大企業だ。
28歳の時に結婚をしており、1年で離婚。子供はなし。
現在は独身。
うち社長とは知り合いを通じて知り合ったらしい。
仕事の関わりはないから、社長と加雁さんの関係は不思議な感じ。
「少し酔ってしまった様だ。御手洗いを失礼するよ。」
突然社長が、席を外した。
ど、どうしょう…
さすがに2人きりだと、何を話せば…
「新堂さん。」
急に呼ばれた。
な、何?
「小田切社長にずいぶん可愛がられてるんですね。」
はぁ?
え、あ、な、なんて答えればいいのよ。
あたしは何も答えれず黙っていた。