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第一生

1

あの綾子の祖母の葬儀から、三週間ほどたった頃だろうか。


深夜三時、種はまた提出物に追われていた。



「はぁ……、もっと前からやるべきだったなぁ…」

種の悪い癖だった。追い込まれないとやらないのだ。

かといって綾子のように才女でも要領がよいわけでもない種は、ことさら時間がかかった。


幼い頃から、種は運動担当、綾子は勉強担当だった。


「うう…、綾子と足して割って欲しかったなぁ」

追い詰められすぎて、泣き言ばかり嘆いていた。

なんの解決にもならないことはわかってはいるのだが。




ピルピルピルピル………




唸っていた種を遮るように携帯がなった。
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