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「なーんにもないよ、携帯も捨てちゃったし。やっぱり処分しない方が色々わかったんじゃないかしら」


綾子は残念そうに呟いた。


「もういいのよ、種。私は大丈夫。おばあちゃんも年だったし、なんの秘密もなかったのよ、きっと」



種はびっくりした。


綾子はしとやかで大人しかったが、決めた事は頑固で、テコでも動かない。


それにあんな不可解な事があったのに、そんな簡単に綾子が納得するのだろか?


種が難しい顔をしていると、綾子はクスッと笑った。


「そんなに考え込まないの!さっ、行かないと間に合わないよ?行きましょ?」


「え?なんだっけ?」


「夏合宿に向けて、何するか案を出し合うって、イジリさんが言ってたじゃない。遅れちゃうわ。」

綾子は荷物をぱぱっとまとめて席から立ち上がった。


種も慌てて、綾子の後についていった。
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