【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
1..panic1
それは唐突も唐突で…
いや、告白なんて大体にしてそんなもんかもしれないけど…
だけど―――…
「山岸先輩、あたし先輩が好きです」
告白されたのが初めてって訳じゃなかったけど(誰も信じないけどオレ結構モテるし)オレの頭は一時停止した。
いじめで使われる事が多いといういわく付きの裏庭に呼び出されたオレの目の前には、知らない女の子。
…多分1年。オレの事『先輩』って言ってたし。
「えっと…オレ、きみの名前も知らないんだけど…」
後ろ頭をかきながら言うと、その子は真顔のまま答えた。
「はい。だからこれから知ってください」
ドクンと鼓動が跳ねたのは…目の前の1年生にじゃない。
睨みつけるようなきりっとした大きな目が…朱莉に似てたから。
すらっとした体系も、長い髪も…オレに朱莉を連想させる。
朱莉を思い浮かべるだけでじくりと痛むのは、失恋の証。
…オレの恋が、散った証。
「…オレさ、きみとは付き合えないよ」
だって…
まだこんなにも鮮明に痛みが走る。
まだ…あの失恋は古傷なんかじゃないから―――…
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