【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
再びオレを見上げた小川に、オレの中で確定していた事が疑問に変わっていく。
…これ、本当に罰ゲームか?
2度も…告白する必要あるか?
じっとオレを見つめる小川の目は、太陽のせいか少しだけ潤んで見えた。
オレンジ色に染められた小川は、ただただオレを見ていた。
じっと大きな目にオレを映していた。
そして…
「あたし、たまに青山先輩に似てるって言われる事あります。
だけど、先輩は絶対にあたしと青山先輩を重ねたりしないでください。
振ってもいいから…それだけはしないでください」
オレを見つめたまま、そう言った。
「…わかった」
この時、ようやく気付いた。
小川の気持ちがマジだって事に。
なんでオレなのかは分からないけど…罰ゲームなんかじゃない。
小川は本当にオレの事…
「わかったら早くクレープ屋さん行きましょ?」
そう言った小川はすっかり冷静な小川に戻っていて、オレは少しだけ笑顔を返してから後に続いた。
クレープ屋は、いつもより少し空いていた。
季節柄、アイス屋にでも客取られてるんだろうな…
たて看板のメニューに視線を向けながら、考え込む。
…って言っても結局頼むものはいつも一緒なんだけど。
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