【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
「オレは…割と長期だな」
「おまえは長期単発型だな。
もしくは長期引きずり型だな。
いつまで引きずっても会長には勝てねぇよ」
「…だな」
机に突っ伏したオレの頭に、充がぱさっとタオルをかけた。
そんなタオルで半分覆われた視界に、朱莉を見つける。
仁美と笑う朱莉は少し恥ずかしげで…
簡単に会長の事を話してるって分かって、苦しかった。
分かってるよ。
見込みがない事も、会長には適わない事も。
だけど…そんな簡単に切り替えられる気持ちじゃないんだ。
誰に迷惑かけてる訳でもないんだし、それくらいいいだろ?
こっそり引きずるくらい…許されるだろ…?
「山岸~、今日の帰り遊んでいこうよ」
そう言いながらクラスの女子がオレの頭のタオルを持ち上げた。
急に明るくなった視界に、少しだけ目を凝らす。
「みんなでブラブラして行こうって話してるから一緒に行かない?」
あまり敵を作らない性格のせいか、友達の数は多くて、こうやって誘われるのもしょちゅうだ。
友達みんなでわいわいするのは楽しいし、好きだけど…
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