【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
「あぁ…ちょっと話があってさ…」
そう切り出したオレに、小川はオレを見つめて…
そして微かに笑った。
夏の重たい風が小川の長い髪を揺らす。
太陽の日差しに照らされた小川の髪は、少しだけ茶色く透ける。
そんな小川を見て、酸素を大きく吸い取った時…小川が口を開いた。
「山岸先輩…あたし友達でいいですから」
「…え?」
突然出た小川の言葉に、オレの口からは何も言葉が出てこなかった。
だって…友達でいいって…
…どうゆう意味だ?
あ…やっぱり罰ゲーム?
…な、訳ねぇよな。
色々と忙しく思考を巡らせているオレに、小川が微笑んだまま続ける。
「あたし先輩が好きです。
ずっと見てたから望みがないのも分かってるんです。
だけど、振られてそのまま話せないんじゃ悲しかったから…
だから、あんな事言いました」
「……」
『あたしの事知ってください』
小川の告白の言葉が頭に浮かんで、その言葉にはそうゆう意味が込められていたんだと、初めて知った。
「あたし…好きな人の前だとどうしても可愛くない態度取っちゃって…
あんな言葉になっちゃったけど…
本当は…山岸先輩と話したかったんです」
オレの隣で俯きながら言う小川の肩が小さく震えていて、小川の緊張を伝えていた。
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