【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
同じ気持ちを抱えてるかと思うと、胸がやけに痛んでしまって思わず眉をひそめた。
そのままじっと見つめていると、小川がふいに顔を上げた。
緊張からか涙を浮かべた瞳が揺れていて…
だけど、しっかりオレを見つめていた。
頬も微かに染まっていたし、震えはまだ止まってはいなかった。
ここで…はっきり断った方が小川のためになるのかな。
そうすれば話す事もなくなるし、そのうちに自然と忘れていくかもしれない。
だけど…
「じゃあ友達するか」
オレが口の端を上げながら言うと、小川の表情が一瞬止まって…
安心したような笑顔を浮かべた。
「はい…」
やっと出したような声で頷いた小川は笑顔を浮かべていて…
初めて見た素直な表情に、オレからも笑みがこぼれる。
「いつもそうやって素直なら可愛いのにな」
「…余計なお世話です。
ってゆうか、そうゆうのって今セクハラですよ」
「おまえ…オレがすきなんじゃねぇのかよ(笑)」
オレが苦笑いしながらこぼした言葉に、小川はオレを見上げて…
「友達ですから」
きりっとした目でそう言った。
…本当に素直じゃねぇな、こいつ。
友達になる事を受け入れたのが、正しかったのか分からない。
だけど、オレは朱莉と友達になった事、後悔した事なんかなかったから。
たった一度も、後悔した事なんかないから。
友達上等だってんだ。
こうして、今日、可愛い顔した可愛げのない性格の友達が1人増えた。
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