【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜


「なぁ…おまえと小川ってどうなってんの?」


昼休みの食堂で、隣に座った充が聞いてきた。

食堂はかなりの混雑具合で、やっと席につけたオレは少し面倒くさげに答える。


「別に~。お友達」


月に2度しか出ないエビフライ&クリームコロッケのA定食が食べたかったのに売り切れで…

仕方なく、カツ丼。

…もういいよ、カツ丼は。

だけど、一番安いからつい…今日は小川にクレープもおごらなくちゃだし。


「友達って…小川はおまえが好きなんじゃねぇの?」


隣の充が口にかっ込むのも同じくカツ丼。

…学食の揚げ物は結構胃にくるからこいつは間違いなく気持ち悪くなるだろうな。


胃が弱い充は、いっつも揚げ物食った後に体調崩すくせに懲りずに食べる。

…バカなんかな。

もしや胃薬が好きなんかな…

いやいやいや、そんなバカな。


「色々あるんだよ。

移り気の充にはわかんない世界なんだよ、これは」


ほっとけよ、と言う意味合いで言ったオレに、充は「ふぅん」とだけ言ったけど、すぐにオレを振り返った。


「でもアレだよな、小川がおまえ好きになったのって絶対4月のいじめ事件だろ」


「なんだよ、それ」


充の言った事が理解できずに聞き返すと、充が「覚えてねぇの?」と話し出した。


「4月…半ばだったかな。

小川が朝校門近くで貧血起こしたんだよ。

で、生徒指導してた会長が小川を抱きかかえて保健室運んだ。

それを見ていた会長のファンがもう激怒して…」


「…小川いじめたのか?」


「そう。

正しくは朱莉が止めに行こうとしたのをおまえが朱莉の代わりに…

って覚えてないのかよっ」


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