【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
「そんな小川になんでおまえなんかが告白されるんだよ?!」
頭を抱え込む充に、オレはへらっと笑って見せた。
「騙されてると思う人~」
「はい!はい!はいっ!
絶対黙れてるね。きっと罰ゲームだ。それしかない」
…だよな。
うん。そうに違いない。
大体さ、好きな奴に告白する時あんな睨みつける奴いるか?
あの朱莉ですら会長の前だと赤くなったり、何も言えなくなったり…
…って自爆だな、これ。
重たくなった頭に、思考転換を促して昨日の小川ヒカリを思い浮かべてみた。
強い眼差しは印象的で…言われてみれば可愛かった。
顔立ちも整ってたし、可愛いとキレイの間くらいな雰囲気。
きっと並べてみたら朱莉といい勝負だな。
…比べる気もねぇけど。
…っつぅか、比べられねぇけど。
「…いってぇ」
体の奥深くについたキズがまたじんわりと嫌なものを吐き出す。
オレの中に少しづつ溜まるそれは、日に日に朱莉への想いを強くさせるようで…
…痛い。死にそう。
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