【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
4..panic4
思い出した事がある。
充が言ってた、小川がいじめられてるのをオレが止めた時の事。
「相沢先輩の気を引くためにわざと倒れたんじゃないの?」
放課後の図書室。
数人の女子が思いっきり歪めた顔で女の子に詰め寄っていた現場に、朱莉とオレがたまたま出くわして…
「ばっかじゃないの?相沢先輩に好かれたい女子なんかいないって」
そう言いながらいじめ現場にずかずかと歩いていく朱莉をオレが止めたんだ。
朱莉をなだめながらオレは女の子と女子生徒の間に入った。
「その辺でいいんじゃねぇ?
ってゆうか、この子1年だろ?入学したばっかりで会長の事なんかまだ知らないって」
「あんたには関係ないでしょ?」
「ってゆうかね、会長、いじめとか大っ嫌いだよ。
よくいじめ止めてるの見るし。
オレちくろうかなぁ~…君達2年だよね?」
会長の名前を出した途端に、女子達の顔が少しひるんだ。
で、追い討ち。
「さっきそこ歩いてたんだよね、会長。
今から呼べばすぐに…」
「ごちゃごちゃうるさいんだよっ
…もう、いこ」
オレが言った事が嘘とも知らずに、女子生徒はオレを思いっきり睨んでから図書室を出た。
「こえぇ~…
女って恐いね(笑)
あんなの気にする事ないから…」
そう言いながら振り返ると、もうその子は泣き出してた。
朱莉がなだめて…
それでも余程恐かったのか、その子は随分長い間泣いてたっけ。
顔なんかほとんど見てなかったけど…
その子が小川だったって事に、昨日の小川を見て気付いた。
同じように図書室で泣く小川を見て…
あの時の姿と重なった。
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