【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
だけど…
小川に会わなくなって、心のどこかで寂しさを感じてた。
小川に会わなくなって、あんなに楽しかった学校生活がイマイチに感じてた。
気付かない振りしてただけで、確かにオレは…
物足りなさを感じてた。
だって、都合が良すぎるだろ。
あんだけ傷つけといて、離れてみたら寂しいからやっぱり友達に、なんて。
そんな都合いい、勝手な事…言える訳ねぇじゃん。
だけど…
だけどさ、これからはもう小川と話す事はないんだろうな、とか
もう小川と一緒に帰る事はないんだろうな、とか
もう小川とクレープ食べる事はないんだろうな、とか
もう小川の、はにかんだような笑顔を見る事はないんだろうな、とか
もう小川の可愛げない態度に呆れて笑う事はないんだろうな、とか…
もう、小川の視線がオレに向けられる事はないのかもしれないとか考えると、どうしょうもなく嫌になるんだ。
どうしょうもなく、切り刻まれたみたいに無数の傷が痛み出すんだ。
なんなんだよ、これ…
なんだよ…くそ…
…―――くそっ!!
残り少ない昼休み、教室を出たオレの足が1年の教室に向かう。
走り出したオレの足はもう止まらなくて…
ただ一直線に、小川の教室に向かっていた。
.