【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
行って何を言う?
小川に…何を言うつもりなんだよ、オレは。
だけど…
だけど、じっとしていられない。
例え、
「ふざけんな」って小川に怒鳴られても、
「もう顔も見たくない」って小川に睨まれても、
このままオレん中から小川を失うなんて…無理っぽいんだよっ
やばいくらいに、できそうもないんだって。
中途半端だけど…
まだまだ、これが恋かどうかなんて…はっきりしねぇけど…
だけど―――…
「…小川っ」
「えっ…」
1年の教室にずかずかと入り込んで、小川の腕を後ろから掴んだ。
びっくりした表情を向けた小川が…オレを見るなり、表情を変えていく。
オレを見つめる瞳を、悲しそうに…歪ませた。
「ちょっと来て」
「あ、え…ちょっと、山岸先輩っ」
小さな抵抗を見せた小川なんか気にせずに、オレは小川を教室から連れ出す。
そして…
裏庭まで連れてきたところで、小川の腕を離した。
普段はほとんど使われない裏庭。
朱莉と何度かいじめを止めに入った事のある裏庭。
…小川がオレに告白してきてくれた場所。
「…なんですか?
こんなところまで連れてきて…」
動揺した様子の小川にオレが振り返ると、一瞬合った目を小川が逸らした。
言う言葉なんか、伝えたい言葉なんか決めてなかった。
だけど…
オレは小川をじっと見つめたまま…まだ少し切れる息を抑える様に口を開いた。
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