【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜


「オレとっ…友達になってくれない?」


オレの口から出た言葉に、小川はオレを見上げて…

そして苦笑いに見える笑みを浮かべた。


「…確かに、あたし友達でいいって言いました。

だけど…やっぱりそれじゃつらい…」


「恋人を前提として…でも?」


泣きそうに歪んだ小川の表情が、オレの言葉を聞いて止まった。

そして、疑うような目でオレを見つめる。


「恋人前提…って…」


詳しい説明を求める小川に、オレはなんて言えばいいのかわからなくて…

くしゃっと頭をかきあげながらまとまらない想いを口にした。


かっこ悪いのなんか承知で、嫌われるのも覚悟で…

…本当は嫌われたくないけど。


はっきり出来ない自分の気持ちを、言葉として組み立てる事も忘れて…

口を開く。



「オレ…その、小川の事が好きかどうかは…まだよくわかんねぇんだ。

あっでも、小川に会えなくなったここ1週間、なんか物足りなくて…

寂しいっつぅか、いつものオレじゃなくてさ…


それは小川の事を…そうゆう風に想ってるからかもしれないけど…

だけど、朱莉に振られたばっかなのにすぐ小川となんて…そんないい加減な事できないし…

こう見えてもちゃんと好きになんねぇと付き合うとかってできなくて…」


だいぶ1人でしゃべった後、小川の顔を伺うように見ると、小川はぽかんとしていて…

オレの伝えたい事は伝わったのかどうか、よく分からなかった。


…つぅか、オレだって上手くわかんねぇけど。



だけど、オレ今やばいくらいドキドキしてて…


朱莉の前では大丈夫だったのに、今、小川を目の前にしたら…

触れてるわけでもねぇのに、やたらと心臓がうるさくて…



大きく息を吐いてから、オレはまだぽかんとしたままの小川に再度問いかけた。



「だから…その、恋人前提として…友達になってくれない?」



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