【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
後日談。
「あ、山岸くん」
階段ですれ違った会長に呼び止められて、オレはびくびくしながら振り返った。
だって、まだ髪色変えてねぇし。
また注意されんのかな…
放課後の階段。
下校時間を少し過ぎた校舎内は割りと静かで、そんな中で会長がオレに微笑む。
…なんだよ、その微笑。
ってか、なんでオレ会長相手にどきどきしてんだっ
そうゆう趣味もねぇのに。
「彼女できたんだってね。おめでとう」
会長の口から出た言葉に、オレはバツが悪くなって曖昧に笑って返事をした。
…しようとした。
「あぁ、まぁ。ありがとうござ…」
「あぁ、正しくは『恋人前提とした友達』だっけね」
「え…?」
なんで知ってんだよ…
オレ、誰にも言ってねぇぞ、それ。
後から考えれば考えるほど可笑しな台詞だと思ったから秘密にしてたのに…
唖然とするオレに、会長はまた微笑を1つ落とす。
「あぁ、山岸くんは知らなかったんだっけ?
裏庭は、生徒会室からよく見えるんだ。
…あの日は暑くて窓も全開だったからね」
恥ずかしさなのか、悔しさなのか…
言葉がでないオレに会長が背中を向けて歩きだす。
そして、思い出したように振り返った。
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