【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜
…しかし、だ。
オレは隣を歩く小川に視線を落とす。
短めのスカートから覗く長い足でさっさと歩く小川からは…やっぱりオレが好きだというオーラは伝わってこない。
罰ゲームなら罰ゲームでもっと嫌そうにすればいいのに、そんな様子もない。
…なんなんだ、この無表情。
あ、もしや見張りが…?
そんな疑惑に勢いよく振り返って目を凝らしたけど…誰かがつけて来ている様子もない。
あ、もしや望遠鏡とか双眼鏡で…?
…でもそこまでは気付けねぇ。
視力0.5くらいだし。
「何してるんですか?」
目を凝らして近くの高い建物を見ていたオレに、小川が問いかけてきた。
「いや…どっかに見張りがいるんじゃないかと思って」
「見張り?」
聞き返してきた小川は本当に何も知らないようにも見えたけど…
もういい加減ゲームに付き合うのも嫌になって、オレは小川を見つめなおした。
じっと見つめると、少しだけ小川の頬が赤くなった…気がした。
小さく肩がすくんだ…気がした。
…多分、オレの気のせいだけど。
そんな小川の変化は絶対オレの気のせいだと思うんだけど…
なんか、「罰ゲームなんでしょ?」なんて言いだし難くなってきて…
オレが黙り込んでいると、小川が目を逸らしながら寂しそうに口を開いた。
「…青山先輩の事でも探してたんですか?」
小川が寂しそうな顔をしただけでもびっくりしたのに、放たれた言葉に更にびっくりして…
「え…なんで朱莉の事…」
「知ってますよ、それくらい…
先輩が青山先輩の事好きだったことなんて、知ってます。
…ずっと先輩を見てきたから」
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