翼のない天狗
「義姉様」
落ち着いた声で氷魚は沙子を呼び、涙目で沙子は氷魚を見る。氷魚は沙子に汪魚の魂を渡した。人魚の長である印であろうか、汪魚の魂、その玉の色は頬の細貝とよく似ている。
「それを兄様に飲ませて下さい、さすれば」
沙子は頷いて汪魚に向かう。
「誰か、この者に魂を戻して」
では私が、と前に進んだ人魚に氷魚はもう一つの玉を手渡す。
しばらくして、二人とも意識が戻った。魂を抜く前と比べ、幾分穏やかな面持ちをしている。
落ち着いた声で氷魚は沙子を呼び、涙目で沙子は氷魚を見る。氷魚は沙子に汪魚の魂を渡した。人魚の長である印であろうか、汪魚の魂、その玉の色は頬の細貝とよく似ている。
「それを兄様に飲ませて下さい、さすれば」
沙子は頷いて汪魚に向かう。
「誰か、この者に魂を戻して」
では私が、と前に進んだ人魚に氷魚はもう一つの玉を手渡す。
しばらくして、二人とも意識が戻った。魂を抜く前と比べ、幾分穏やかな面持ちをしている。