翼のない天狗
七、刹那と永遠〈本編完結〉
解放
風は廻り、水は巡り、緑が天を掴む。
二十年の時が経った。
鎖が断ち切られる。手首の枷が外された。
そこだけ時が止まっていた。
あの日に変わってしまった金色の髪。白天狗として覚醒している証である、曙色の瞳。薄い肌色はきめ細かく、唇はうっすらと紅い。
ゆっくりと立ち上がり、錫杖を手にする。とん、と突くと、しゃん、と環が鳴った。
そして、確かめるように足を踏み出す。
清青は解放されたのだ。
二十年の時が経った。
鎖が断ち切られる。手首の枷が外された。
そこだけ時が止まっていた。
あの日に変わってしまった金色の髪。白天狗として覚醒している証である、曙色の瞳。薄い肌色はきめ細かく、唇はうっすらと紅い。
ゆっくりと立ち上がり、錫杖を手にする。とん、と突くと、しゃん、と環が鳴った。
そして、確かめるように足を踏み出す。
清青は解放されたのだ。