翼のない天狗
きっと、必ず会いましょう。きっと、きっとです。
その言葉。あなたは存在が力だ。あなたの存在が、私の二十年の孤独の光だった。死に瀕した私を救ったように、私はあなたを救えるだろうか。私はあなたの闇に一筋の光を差すことができるだろうか。
こんな問答は無用だ。
「氷魚……」
清青は深く深く氷魚を抱きしめる。実原の屋敷でそうしたよりも、もっと強く、優しく。
「沙子様」
氷魚の部屋から出た沙子に流澪は様子を問う。沙子はゆったりと笑んだ。
「しばし、二人だけに」
その顔には、ある種の確信が映る。
「氷魚殿もそれを望まれるはず」
流澪は何か言いたげな表情をしたが、それを飲み込んで追従した。
そうだろう。氷魚が求めいていたのは、清青。