翼のない天狗
有青
平安の都――
「ウセイ様! 有青様」
「どうした太助。そう騒ぐとその老体に毒だぞ?」
「有青様、そう爺をからかわれるな」
髪をきっちりと結い上げ、衣冠姿も似つかわしい。すまぬ、と笑った。
「支度は出来ている。一体何の御用だろう、帝が私のような者を御召しになられるとは」
はてな、と口に手を遣るその仕草も有青の整った容貌を際立たせる。母親譲りの艶やかな黒髪、父親譲りの瞳。そして両親から余す所なく受け継いだ顔立ち。それは父親の秀麗さに母親の柔らかさが混ざり、何とも端麗である。
「ウセイ様! 有青様」
「どうした太助。そう騒ぐとその老体に毒だぞ?」
「有青様、そう爺をからかわれるな」
髪をきっちりと結い上げ、衣冠姿も似つかわしい。すまぬ、と笑った。
「支度は出来ている。一体何の御用だろう、帝が私のような者を御召しになられるとは」
はてな、と口に手を遣るその仕草も有青の整った容貌を際立たせる。母親譲りの艶やかな黒髪、父親譲りの瞳。そして両親から余す所なく受け継いだ顔立ち。それは父親の秀麗さに母親の柔らかさが混ざり、何とも端麗である。