翼のない天狗
く、と有青の喉が鳴った。有青は母の隣にいる男を、藤紫色の目で睨みつけている。花の君は息子を諭すように言った。
「実原紫青キヨハル様。この方が」
紫青も有青を見ているが、これは物珍しそうに、と形容するべきか。
「あなたの父親です、有青」
「ウセイ」
紫青はその名を呟いた。花の君は説明する。
「青が有る、と」
「有青か。花の君、その名前は誰が付けたのだ?」
「父上です」
「そなたの?」
「いえ……」
「……では、父上が……」
花は首肯した。実原隆行だ。
そうか、と紫青はまた微笑んだ。今度も何かを含んだ笑みだったが、それは窺い知ることができない。
「実原紫青キヨハル様。この方が」
紫青も有青を見ているが、これは物珍しそうに、と形容するべきか。
「あなたの父親です、有青」
「ウセイ」
紫青はその名を呟いた。花の君は説明する。
「青が有る、と」
「有青か。花の君、その名前は誰が付けたのだ?」
「父上です」
「そなたの?」
「いえ……」
「……では、父上が……」
花は首肯した。実原隆行だ。
そうか、と紫青はまた微笑んだ。今度も何かを含んだ笑みだったが、それは窺い知ることができない。