翼のない天狗
「おい清青、探したぞ」
日が西に傾き、京の寺から夕刻を告げる鐘の音が届く。街道沿いの高い樹の枝に座っていた清青を見つけて、深山が空から降りてきた。
「深山……何だ」
「俺はお前が戻って来るのを、冥王の山で待っていたんだぞ、あれからずっと」
「それはすまないな」
覇気のない清青の答えに、深山は、はぁと長息を吐いた。
「清影様とは何の話をしたのだ?」
「いつもの話だ」
「成程。取り合ってくれぬことをふて腐れておるのか」
「ふて腐れてなどおらぬ」
不機嫌な声で清青は返事をする。深山はケタケタと笑った。
清青は、つい、と深山から目をそらす。ちょうどその時、眼下の街道を人間が二人通った。
日が西に傾き、京の寺から夕刻を告げる鐘の音が届く。街道沿いの高い樹の枝に座っていた清青を見つけて、深山が空から降りてきた。
「深山……何だ」
「俺はお前が戻って来るのを、冥王の山で待っていたんだぞ、あれからずっと」
「それはすまないな」
覇気のない清青の答えに、深山は、はぁと長息を吐いた。
「清影様とは何の話をしたのだ?」
「いつもの話だ」
「成程。取り合ってくれぬことをふて腐れておるのか」
「ふて腐れてなどおらぬ」
不機嫌な声で清青は返事をする。深山はケタケタと笑った。
清青は、つい、と深山から目をそらす。ちょうどその時、眼下の街道を人間が二人通った。