翼のない天狗
「自分の犯した罪に、戦慄いているのだろう」
ずら、と長槍を構えた人魚が清青と氷魚を取り囲んで並んでいた。統一された装束は、秩序と不気味さを醸し出す。
そのうちの二人ずつが清青と氷魚を捕らえる。氷魚は力無く従い、清青もある程度の抵抗はしたもの、まだ体力は戻らず体に縄が打たれた。
「長」
そう呼ばれた人魚が清青に近づく。
「流澪、氷魚を連れて行け」
流澪は氷魚の腰を掴む。
「氷魚殿」
「清青様……」
勝者の瞳で流澪は清青を見た。何も言わず、そこを離れる。