闇夜ニ咲ク華
「こんな餓鬼があの事件の犯人だってのか。
ケッ、幕府のお偉いさん方の力量も地に落ちたな」
「おいトシ!
すまんなぁ……此奴は思ったことをすぐ言う質でな、悪気は無いんだ」
「別に、気にしてない」
そんな言葉は聞き慣れてる。
もっと憎しみや恨みを含んだ言葉を受けてあたしは人を殺していたんだから。
「おい餓鬼、テメェの名前はなんだ」
黒髪のトシと呼ばれていた方が睨みを効かせながら問い掛けてくる。
あたしはそれに臆することもなく平然と答える。
「あたしの名は葵」
「葵くんか……良い名だな」
もう1人の方が朗らかに笑ってそう言った後、山崎が2人の紹介を促す。
「ほな局長方も挨拶お願いしますわ」
「そうだな、俺は新選組局長近藤勇だ」
「副長、土方歳三だ。
言っておくが俺はまだテメェを信用してねぇ」
土方の言葉は当然だ。
今まで私は人を斬ることしかしてこなかった。
寧ろそう簡単に信じられる方がおかしい。
「まぁ、これから頑張って信用してもらえるよう頑張るんやな。 ほな俺らはこれで」
山崎に手を引かれて私はその部屋を後にした。