透明ニンゲンと秘密のレンアイ

オレの気持ちは 直流Side




 坂木若桜。


 コイツは、オレが透明になってるのを、何でか見破ってのけた人物だ。




 オレの家系は、先祖代々男にのみ透明になる能力が、生まれつきある。


 それが何故か分からないが、父さんによると、大昔、オレの家系が女の着替えを覗きたいがために、神に捧げる儀式をして成功したかららしい。



 全く馬鹿な事するよな。


 気持ちは分からなくもないけどさ。




 で、話を戻すと――。




 オレは今、この幼女もどきと水族館デート中というわけだ。

 因みに幼女もどきとは若桜ちゃんの事だ。


 理由は

 オレ自身、幼女もどきをデートに誘ったこれといった理由はない。


 ただ、興味はあった。


 フツーに可愛かったし。


 何より透明になってるオレが見えたんだしな。



 大人しい子かと思ったら、意外に毒舌でツンデレで天然だし。


 可愛かったし。



 今まで体目当てで色んな女と付き合ってきたけど、コイツだけはなんか、体目当てじゃなく、フツーに仲良くしてみたいって思ったんだよなぁ……。



 いや、実際けっこー可愛いし。


 ちょっと耳元で囁くだけで、すぐ顔真っ赤にして睨んでくるコイツは、誘ってるようにしか見えない。


 キスをしただけで涙目になるウブさもまた可愛い。


 すぐ怒って拗ねるのも可愛い。

 というか、いい意味で全体的に幼い。

 だから幼女もどき。




 コイツのトラウマの話を聞いた時は、自分でも分からない程怒りが沸き起こった。


 何でか分からないが、我慢出来ないくらいムカついた。


 そいで流哉ってヤツを追い返して……


 今に至る。



 にしても、色んな事ありすぎて、腹減ったな……。



「あー、腹減った。何か食わねえ?」



 オレが傍らにいる幼女もどきに訪ねると、幼女もどきはちょこんと頷いて言った。



「そうだね。何か食べよう」


「何がいい?」

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