透明ニンゲンと秘密のレンアイ

「な、なに……?」


「こうして、オレが透明になる能力使えば、若桜ちゃんとオレは、透明になって周りに姿は見えなくなる」


「……?」



 幼女もどきは首を傾げた。


 マジ天然だな……。


 オレは少し呆れながらも、怪しい笑みを浮かべ、その顔を若桜ちゃんの不思議そうな顔に近づけた。


 唇が、触れる――。


「んっ!?」


 幼女もどきが驚いて、少し口を開けた、その隙間に下を入れた。


「んふぅ……んっ」



 幼女もどきが、甘い声を出す。


 ヤバい。


 コイツ、ワザとやってるとしか思えねぇんだけど。


 オレは、これ以上やってると理性が吹っ飛びそうなので、唇を離した。



「っは、はあ、はあ……」



 幼女もどきの腕を掴んだままなので、まだオレ達は透明のままだ。


 肩で息をする幼女もどきに、オレは怪しく笑いかけた。


 幼女もどきが顔を赤くして抗議を始めた。



「バ、バッカじゃないの! こんな公共の場でやるなんて、馬鹿! 阿呆!」


「いやいや、だからさ、話聞いてた? オレは今、透明になる能力を使ってるワケ。それで若桜ちゃんに触れてるから、オレも若桜ちゃんも透明になってんだよ。だから周りからは見えないんだって」


「はあ?」



 若桜ちゃんが周りを見渡す。

 周囲の人達は、まるでオレ達が見えてねぇかのように通っていく。

 いや、実際見えてねぇけど。


 その様子を見て、ちょっと癪そうに納得する幼女もどき。


 しかし、抗議は続いた。



「周りから見えないのは分かったけど、だからって許可なしにキ……キスとかするもんじゃないでしょ!」


「ははっ、キスって言うの恥ずかしいんだ?」


「う、うっさい! 大体、アンタのは普通じゃないじゃん! 深すぎて苦しいっつの!」


「あ、あんなんで苦しいんだ。てかあれフツーな」


「ふぁっ、フッ、アン……バッ」



 幼女もどきが、顔を真っ赤にしながら謎の言葉を発する。


 多分「ふぁっ! フツーじゃないし! アンタバカじゃないの!」って言いたかったんだと思う。



 やべーおもれぇ。



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