透明ニンゲンと秘密のレンアイ



 因みにまだ腕は離していない。


 さあ、何して遊ぼうか。


 やべ、オレ実はSなのかもしんねぇ。



「腕離してよ!」



 幼女もどきが、オレの手から逃れようと暴れる。



「あんま暴れんなよ。誘ったの若桜ちゃんからなんだし」


「わ、私がいつ誘ったって言うんだし!」


「はい駄目。自覚ない時点でもう駄目」


「意味分かんないっ! 離してよ……」



 幼女もどきは、顔を赤くしながら涙目でオレを睨む。


 あー、可愛い。


 不覚にも、ちょっと心臓がドキッとした。

 コイツ、何も分かってねぇし。


 もうちょいキツくお仕置きしないと、駄目っぽいな。



「……そーいう顔が、誘ってるっつうんだよ」



 オレは一気に若桜ちゃんとの距離を詰め、若桜ちゃんの顎を指で持ち上げた。


 あとちょっとでキスをするような距離だ。



「なっ、何よ……そーいう顔って……」


「お前、重症だな」


「はっ? てか、顔近いのよアンタ……!」


「んー? ああ、気にしないで」


「そんな事言われたって……! 気になるから!」


「ははっ、まあまあ。ちょっと若桜ちゃんにお仕置きしとかないとなぁ……って思ってさ」


「お仕置きって……私が何したっていうの?」



 幼女もどきが首を傾げる。


 やべ、オレちょっと顔赤いかもしんねぇ。


「お前……無自覚はイカンぞ。無自覚で可愛いのはイカン」


 オレは手で少し顔を隠しながら言った。


「は、はぁっ?」



 若桜ちゃんが、更に顔を赤くしてオレを睨む。

 くそ、可愛い……。



「あー、もういいや。若桜ちゃんは手に負えねぇよ」



 オレはお仕置きすると、オレの理性が吹っ飛ぶだけだと判断して、お仕置きをするのは止める事にした。


 若桜ちゃんの腕を離す。


 周りからは突然現れたように見えるため、周りの人達は驚いていた。

 オレはそんなのお構いなしに、今度は能力解除したまま、若桜ちゃんの手を取って歩き始めた。

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