透明ニンゲンと秘密のレンアイ
地獄のテストとエンドレス雷
ヘンタイに手を引かれ、私達はたこ焼きを食べた。
あー美味しい。
にしてもこのヘンタイ野郎、透明になれるのをいいことに、キスしてきやがった。
不覚にも、そんなに嫌じゃなかったけど、やっぱり恥ずかし過ぎた。
ヘンタイはたこ焼きを食べて「うめぇな」とかほざいてる。
……。
ぶん殴っていいですか?
私が右手にたこ焼き、左手は握り拳にして、殴るか殴らないか迷っていると、さっさとたこ焼きを食べ終わったヘンタイが私を見て言った。
「あれ? 若桜ちゃんたこ焼き食わないの? じゃあもらっちゃおっかな~♪」
「はっ?」
私が気がついた時にはもう、右手にあったたこ焼きは、綺麗に串だけになっていた。
「あ……っ」
ヘンタイを見ると、美味しそうに口をもぐもぐさせている。
「あああああああっ!!」
最後の一個だったのにぃ!
「バカーっ!」
私は渾身の力を込めて、ヘンタイ鳩尾にパンチをした。
「ぐふっ!」
ドグゥ! というエグい音と共に、ヘンタイは座っていたベンチに倒れ込んだ。
私はそんなヘンタイを、ポカポカと叩きまくった。
「私のたこ焼きぃぃぃ! 返せバカ!」
「いてっ、いててっ、わ、悪かったって」
ヘンタイは鳩尾をおさえながら、起き上がった。
私がギロッと睨むと、ヘンタイは即座にベンチの上で土下座をした。
「ごごごごめんって! ホントごめんなさい! もうしないから!」
「本当に?」
必死で頷くヘンタイを、私は許すことにした。
まあ私も本気でパンチしたし、おあいこ様にしとくか。
そんなこんなで、私達は帰ることにした。
ヘンタイが「家まで送るよ」って言ってたけど、そんな暗くないし、断った。
家に着くなり、私はソッコーで自室に入り、バックを投げ捨てベッドにダイブした。