透明ニンゲンと秘密のレンアイ
口止め代
んで、とりあえず着替えてから、体育の授業中、皆がバレーをしてる体育館の隅っこで、私は杉下君に詰め寄っていた。
「杉下君、アナタってとんでもない顔だけヤローだったのね」
「うう……。ヒドくねぇ? 高1の男子としては標準だし」
「まあ……そうかもしれないけどさ」
私はやっぱり納得がいかず、再度杉下君の心をえぐった。
「やっぱり学年1のイケメンなだけに、ちょっとガッカリするけどね」
「うう……」
「情けない声出しちゃって」
「キミ毒舌だね!」
杉下君は涙目になって、私に反論した。
「キミじゃなくて、坂木若桜です」
「あぁ、ごめん若桜ちゃん」
若桜ちゃん……だと?
「な……馴れ馴れしく下の名前で呼ばないでよ」
杉下君は首を傾げて言った。
「ん? 何で?」
コイツ……。
「女慣れしてるでしょ」
「ん、まあね」
見えてきた……。
コイツの中身が見えてきたぞ……。
「彼女は今までで……フミと、ミサキと、カンナと……」
杉下君はたくさんの女の子の名前をつぶやいた後、
「ざっと20人以上かな」
と言った。
分かった。
「アンタ、イケメンな上にチャラ男なんだね」
「否定はしない」
「……私の一番キライな人種だわ……チャラ男で変態って」
私はもう杉下君と話す気が失せ、授業にもどろうとした。
なのに
「ちょっと待った」
杉下君に腕を掴まれ、引き止められてしまった。