透明ニンゲンと秘密のレンアイ

 私、何で傷ついたんだろ。

 ヘンタイが私との関係を否定したから?


 そんなの、否定しないと面倒な事になるから、あれが最善の方法だし。

 どうして・・・・・・?


 こんな事で悩むなんて、まるで私がヘンタイとの関係を皆に主張したかった、みたいな・・・・・・


 いや、そんな訳ない!


 アイツは私が一番嫌いな人種なんだぞ!

 昨日のデートでヘンタイが気になり始めるなんて、ある訳ないよ!


 きっと、何かの間違い・・・・・・何と間違えたのか分からないけど、何かの間違いだよ!

 絶対そうだ!



 私は頭の中がぐるぐるで、担任の言ってる事は少しも耳に入っていなかった。





 だから、重大の事に気づくのが少し遅れてしまった。


 朝のHRが終わり、一時限目の数学までの五分休憩の時、数学の教科書などを出していると、胡桃が勢いよく振り返った。



「わっ! ど、どうしたの?」


「若桜ぁ! あと一ヶ月もしないうちに中間テストが待ってるんだよ!?」



「・・・・・・は?」




 ちょっと待った。


 今、中間テストが待ってると聞こえたのは、気のせいデスカ?


「勉強しなきゃだよ!」


 目の前で胡桃が、茶色い綺麗な髪を、ぐしゃぐしゃにかき混ぜて焦っている。


 ・・・・・・気のせいじゃないみたいデス。



「・・・・・・や、やだあぁ!!」



 私は大きい声を出した。周りが一瞬私を見た。恥ずかしいので縮こまった。



「若桜・・・・・・私よりも頭悪いもんね」



 胡桃が私の肩に手を置いて言う。



「うっさい」



 私はその手を払いのけ、机に突っ伏した。



「あぁ~もう、やだよーテストとかいらないよ」



 まだ一年の最初だから大丈夫!


 とか言ってられないんだよ私は!

 ホントに数学と社会だけは死んでんだよ!

 得意教科は英語ですよ!

 英語だけですよ!


I'm good at speaking and writeing English!


 でも英語だけじゃ大学行けないよぉ。数学と社会勉強しなきゃぁ・・・・・・。


「若桜ー、戻ってこーい」

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