透明ニンゲンと秘密のレンアイ
「ん」
ヘンタイが私に向かって、半分傘を差し出す。
甘えちゃおう・・・・・・かな?
私はヘンタイのもとへ走って行き、傘に入った。
「・・・・・・ありがと」
私が下を向きながらお礼を言うと、ヘンタイが笑った気配がしたので、ヘンタイの顔を見上げる。
「いーえ」
ヘンタイは満足そうな、嬉しそうな笑顔で私を見ていた。
――ドクン
やっぱり、かっこいいよなぁ。
「んじゃ、帰りますか」
「ん・・・・・・」
今回は委員会でいない胡桃達以外はみんな帰ってるし、雨だから寄り道している人もいないだろうから、私達の相合い傘は誰にも見られないハズ。
私達は歩き出した。
「んあー、マジでテスト無理だぁー」
ヘンタイが不意にそんな事を言い始めた。思わず私も共感してしまう。
「私も! 特に数学と社会がダメでさぁ・・・・・・」
「マジ? オレは英語が無理・・・・・・」
・・・・・・英語。
一瞬2人の間に沈黙が流れ、同時に沈黙を破った
「英語、教えようか?」
「数学、教えっか?」
「「あっ・・・・・・」」
再び沈黙。今度は見つめ合ったまま。
そして同時にプッと吹き出すと
「うん、お願い!」
「お願いしゃす!」
と言った。
おお・・・・・・救世主!
胡桃にもヘンタイにも教えてもらえば、きっとテストは満点だ!
てかヘンタイって、頭いいのかなぁ?
一見バカに見えるけど、意外と頭がいい。とかありそうだよなぁ・・・・・・。
「おし! そうと決まれば早速勉強すっか! 今度の土曜日・・・・・・は、オレが暇じゃねぇや。日曜日暇?」
「えーっと、うん」
「じゃ、その日に一緒に勉強するか」
「そうだね」
「よし。じゃあ連絡先知っときたいから、メアド交換しねぇ?」
「しよっか」
私は鞄の中からスマホを取り出して、ヘンタイと赤外線でメアドを交換した。