透明ニンゲンと秘密のレンアイ
・・・・・・って、何この展開。
なんかめっちゃサクサク進んでない?
あれ? なんかメアドとか交換しちゃったよ?
なんか私、思いっ切り展開とヘンタイに流されてる気がするんですけど・・・・・・。
目の前には、楽しそうに笑うヘンタイ。
そんなヘンタイと、ちゃっかり勉強会をする約束をしてしまった私。
私ってバカだああああ!
「ん? どしたの若桜ちゃん」
「ふえっ!?」
ヘンタイが急に話しかけてきたから、私はつい変な声を出してしまった。
「てか、今日は若桜ちゃん随分素直だね」
「はっ!?」
「ま、可愛いからいんだけどな」
「んなっ・・・・・・!!」
私はヘンタイを睨むべく、ヘンタイの方を見て、気がついた。
「あ・・・・・・」
ヘンタイの鞄と、それを持っている(肩にかけている)右の腕全体が傘からはみ出てて、雨に濡れていた。
私は、傘の外側にある鞄がちょっと濡れているくらいで、持ってる左腕は少しも濡れていない。
明らかに、私の方が傘の面積がデカいじゃん・・・・・・。
鞄は革製だから、中の教科書とかは濡れないだろうけど、制服は・・・・・・。
「ごめん、私、寄りすぎてるよね」
そう言って私はヘンタイからちょっと離れて、傘の面積が半々になるようにした。
「ん? いや、別に若桜ちゃんは悪くないよ。てか半々にしたら、若桜ちゃん濡れちゃうじゃん」
あ・・・・・・。
ヘンタイは、気を遣ってくれてたんだ。
どうしよう。
嬉しい。
女の子慣れしてるからこそ、出来るんだろうけど。
そう考えると、ちょっと寂しい・・・・・・。
「いいってそんなの。アンタが濡れてんじゃん」
私はそう言ってヘンタイを引き寄せた。
「ハハッ。若桜ちゃんダイタンですね~」
「バッ・・・・・・!! 違うし!」
私がそう言った瞬間、空がピカッと光って
――ゴロゴロゴロ……ドシャアアアン
「ひぃっ!」
雷だ!
雷嫌いだよぉ嫌だ怖いいいい!!
私は思わずヘンタイに飛びついていた。