透明ニンゲンと秘密のレンアイ
「おいおい、大丈夫かよ?」
ヘンタイが心配そうに私に近づいて、私が取り落としてしまった傘を拾ってさしかけてくれた。
「・・・・・・1人で帰れそうにないよな・・・・・・。おし、オレん家来る?」
「へっ?」
ヘンタイの言葉に、私は思わず間抜けな声を出してしまった。
コイツの家・・・・・・。
「アッ、アンタ・・・・・・きゃっ!」
「アンタ何言ってんの?」って言おうとしたら雷に遮られてしまった。
でもヘンタイは私の言いたいことが分かったようで
「別に変なことなんかしないって~」
と言って笑った。
「バッ、バッカじゃないの? 別にそんなの・・・・・・ど、どーでもいーし! 私は、アンタは私が来てもいいのかって訊きたかったの!」
ヘンタイの言う通りに従いたくなかったので、軽く反論してみる。
「ん? 若桜ちゃん今、「別にそんなのどーでもいーし」って言ったよな? てことは、別にオレが若桜ちゃんを襲う」
「わーっ!」
私はヘンタイの言葉を遮るように叫んだ。
バカなのは私の方じゃんか!
本当バッカじゃないの自分!
「はははっ。嘘嘘。別にそんな事しないってば」
「・・・・・・」
私が半信半疑で睨んでいると、また雷が鳴った。更に雨も強くなってきた。
怖いなぁ・・・・・・。
「うし、もういーからオレん家来いって!」
「えっ? あっ、ちょっと・・・・・・!」
気がついたら私はヘンタイに手を引かれ、ヘンタイの家の方向へと連れて行かれていた。
私は何故か、その手を振り払えなかった。
きっと雷のせい・・・・・・だよね?