透明ニンゲンと秘密のレンアイ



「あっ、えと、こんにちは。ヘンタ・・・・・・直流君のクラスメートの若桜です」



 幼女もどきは若干あわあわしながらもちゃんと自己紹介をしていた。


 てかちょっと待て。


 若桜ちゃんさっき、「ヘンタ・・・・・・」とか言ってなかった? それって何て言おうとしてたのかな? 後でちゃんと訊いておこう。



「若桜ちゃんね! 可愛い子じゃない! あたしは直流の姉の春乃だよ! ちょっと待って、そんなビショビショじゃあ家に上げられないから、今バスタオル持ってくるねー!」



 姉ちゃんはやたらウキウキしながら洗面所へと消えていった。


 どうやら姉ちゃんは、幼女もどきをオレの初カノだと思ってるらしい。


 その初カノ疑惑をもたれている幼女もどきは、姉ちゃんに圧倒されて固まっていた。



「さあさあ! これで体拭いて若桜ちゃんっ。うわっ、若桜ちゃん冷たいじゃん! お風呂入りなよこっちおいで!」


「あっ、えっと、いいんですかそんなにお世話になって・・・・・・」


「大丈夫大丈夫! 拭いたらこっちおいで! 服かしたげるからちょっと待って! 直流、アンタはちょっとそこで待ってな!」



 姉ちゃんはオレにタオルを投げつけ、自室がある二階へと駆け上がって行った。



 幼女もどきはこの急展開に玄関から動けずにいた。



「ごめんな若桜ちゃん。オレが女の子家に入れる事って殆ど無いから、姉ちゃん興奮しちゃってさ」


「えっ・・・・・・。直流君、女の子家に入れる事って、あんま無いの?」


「ああ。こう見えてもな」


「・・・・・・どうして私は入れてくれたの?」



 幼女もどきはちょっと伺うように、上目遣いでオレに訊いてきた。



 可愛い・・・・・・。



 いや、今はそんなことどうでもいい。


 オレは何で幼女もどきは家に入れようと思ったのか。


 オレにもよくわかんねぇけど・・・・・・怖がってる幼女もどきを一人にしたくなくて・・・・・・とかか?
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