透明ニンゲンと秘密のレンアイ



 自分の思考にすっきりしないまま、体を流した後に、温めるために湯船に入る。



 もともと私とヘンタイは、お互いを知るためにデートしたんだよね。


 つか、言いようによっては、デートっつー名目ってだけで、友達同士で遊びに行ったと思えば・・・・・・。



 濃厚なキスはしたけれど。



「ああもうっ!」



 私ってヘンタイに振り回されてばっかな気がする!


 ヘンタイの事でこんなに悩んで悶々とするとかなんか悔しい!


 何も考えずに生きてきたいんだ私はぁ!


 無理だろうけど!


 怒りに任せて、湯船のお湯をバッシャンバッシャン波立てる。



 お湯が湯船から零れていく。


 うん。ただのお湯の無駄だったね。



 風呂場から出て、洗面所で体を拭き、髪も軽く拭く。


 これでも私は女なので、髪質は気にします。間違っても髪はガシガシ拭いたりしないよ?



 いつもなら乾かさないし、髪質気にしてるとか言いながら、たまには生乾きのまま寝るけど、借りた服を濡らすわけにはいかないので髪を乾かす。



 大体乾いてから、貸してもらった服を着ようと思ったんだけ・・・・・・ど・・・・・・。



「何これ・・・・・・」



 私の目の前には完全に男物の、私とはサイズが合いそうに無いTシャツが置いてあった。


 しかも、そのTシャツ一枚だけ。



 私の下着はブレザーと、スカートの下に着てた体操着のお陰であまり濡れてないから、春乃さんは乾かしに持ってっていない。


 だけど。下着の上にTシャツ一枚って、ただのヘンタイじゃないですか。



「う~~」



 でも下着のまま行くよりはマシだし・・・・・・。着たらソッコーで春乃さんの所へ行こう。どこにいるか分からないけど。



 私は下着を身に付け、観念してTシャツを着た。



 ・・・・・・あ。
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