キミのための声
「あー……
アンタってほんと変な奴」
満足するところまで笑ったのか、
ふぅ、と息をついて
若干口角を上げて言った。
2回目の『変な奴』に
ショックを受けたけど、
もうなんでもよかった。
「べ、別に変じゃないしっ…
馬鹿にしないでよぉっ」
「それで、俺のことが何だって?」
「えっ?」
「さっき言いかけたじゃん」
「……あ…」
そ、そうだ…
あたし、告白の途中じゃん…!
「あ、だからそれはっ……」
……頑張れ
頑張れあたし―――!!
「―――葵くんのことが好き!」
―――言った
言えた
恥ずかしくて葵くんの目は
見れなかったけど
でもちゃんと言えた……
いいんだ
当たって砕けろ、だよ
気持ち伝えることが
出来たんだから……
俯いたまま自分の中で
満足していると、なかなか
葵くんの反応がないのを
不思議に思い、そっと顔を上げる。
葵くんは、ただあたしを
じっと見つめていた。
さっきのような
切なげな瞳じゃなくて
ただ
無表情で
「……それで」
「え?」
「それでどうしたいの」
「えっ……」
怒ってるわけでは
ないんだろうけど
無表情で、
地の底から出したような
低い声で言うから
分かりやすく動揺した。