キミのための声







「あたし…葵くんの彼女に
なっていいの……?」





確認するように尋ねると、
葵くんはフェンスに寄りかかり、





「アンタ、なんか面白いし。」





サァッ…と爽やかな風が吹き、
赤いネクタイが横に靡く。





あたしの髪も派手に揺れるので、
何度か手で整える。





「面白い、って……」





いい意味で?




って聞きたかったけど、
なんとなくやめておいた。






「―――じゃ、そういうことで」





ポケットに手を入れて
フェンスから背中を離すと、
そう言って歩き出す。





「えっ?あのっ」




「何」




首だけ振り向かせて
立ち止まる葵くんに、




「あ…えっと……
――そう、アドレス!
アドレス教えてよ!」




あたしの言葉に、
葵くんは「あぁ…」と
多少めんどくさそうに
ポケットから携帯を出す。





その場でアドレス交換をして、
ほんとはもっと話が
したかったけどそうも言えず。




葵くんは「じゃ」とだけ言って
中へ戻ってしまった。







……なんか





アッサリしすぎじゃない?





おかげで、
1ミリも実感ないよ。







今日から





あたしが





葵くんの







彼女―――……?








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