キミのための声
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――
こうして
あたしと葵くんは
付き合い始めたわけだけど。
「付き合ってる感じしない…」
付き合い始めて、
もう5ヵ月になるのに。
最初の頃から、お互いの関係は
何ひとつ変わっていない。
一緒に帰らないうえに
学校でもほとんど話さないし。
手だって繋いだことない。
初めての彼氏なのにな。
「中山が悪いんじゃなくて、
ただ相手が悪かったんだよ。
レベルが高すぎっていうか」
そう言ってきたのは、
クラスメートの高崎 晃平
(たかさき こうへい)。
陽と幼なじみで、
あたしと由香と仲が良い。
「レベル?」
あたしの聞き返しに
晃平はうん、と頷き、
「あの滝澤 葵だろー?
学校中の女子から
もう王子様扱いで」
「おい晃平、それは俺だ」
「黙ってろクズ」
「ちょ、おまっ!」
陽のギャグ(?)も
一瞬で攻撃にして返して
すぐにあたしへ視線を移し、
「だから多少の我慢や不満は
仕方ねぇよ。頑張れ、な!」
「う、うん……」
我慢や不満……
よく考えたら
そればっかりだな。
でも確かに、あたしが
あんな王子様と付き合えてる
ことは奇跡なわけで。
なのに不満なんて、
ワガママすぎるよね。