キミのための声
「え~?あたしはそうは
思わないけどなぁー。」
イスに座り足を組む由香が
晃平を見て言った。
晃平も隣の席に座り、
「え、なんで?」と問う。
「だってさ、レベルが高いもなにも、
告白OKしたのはあっちだよー?
それで我慢だらけの付き合いなんて
おかしいじゃん。」
不服そうに眉をひそめる由香に
晃平も小さく頷く。
「まぁ、確かにそうかもな」
すると由香が
真剣な表情を向けて、
「愛梨沙さ、
葵くんに言ってみたら?」
「え?何を?」
「もっとカップル
らしいことしたいーって。」
「む、無理無理っ!」
慌てて顔の前で手を振ると、
由香は首を傾げた。
「何でよ?」
「だって…そんなこと言って
重い女だって思われたら、
嫌だもん……。」
それでなくても、
好かれてる自信無いのに。
「重いってアンタ、
それのどこが重いのよっ」
「そんなんで重いって
言われたら、んなの
別れちまった方がいいって!」
陽にまでそんなことを言われ、
はぁ、と溜め息をつく。
すると晃平が「あ。」と何か
思い付いたように声を出し、
「俺さ、滝澤と仲良い奴と
友達なんだよね。そいつに
色々聞いてみたら?」
耳までかかった長めの茶髪を
いじりながら提案する。
「葵くんの友達?」
「あぁ。小野崎 建吾
(おのざき けんご)って
奴なんだけど」
「でも…あたしが言ってたこと
葵くんに言われちゃったり
しないかな?」
そういうのはそういうので、
また困るんだよね……。