キミのための声






ゾクっ、と




全身に鳥肌が立つ感覚。





「…何…言ってるの…?」




「欲求不満が続くのは
体に毒だぜ?」




「……意味、分かんな――」




「分かってんだろ。
いつまでもそうやって
気付かないフリしてんなよ」




「はっ……?」




なんなの



全然意味が分かんない




「何が言いたいの…?」




手に絡めていたあたしの髪を
パッと離して、壁に寄りかかる。




そして真っ直ぐにあたしを見て







「―――アイツはやめとけ」






また




意味の分からないことを。






「……だから…どういう意味」





「お前はアイツと
幸せにはなれない」






さっきのように





馬鹿にしてるとか




見下してるとか





そんな言い方じゃなくて。





恐らく、真剣なんだろう。





……だけど。






「そんなのあたし達にしか
分からないでしょ」




「分かるね。よーく分かる。
逆に、アンタよりも
俺の方が分かってる。」




「―――だから何なの!?
ハッキリ言ってよ!!」




そう声を張ったあたしを、
廊下を歩く生徒が
チラリと見ていく。




彼は可笑しそうに笑い、




「知りたかったら
また今度聞きに来いよ。
正直アンタにそんな
警戒された状態で
色々話すのって無理ある」




スッと真っ直ぐ立ち、
「じゃあな」と言って歩き出す。






―――何?




あの人





一体何を知ってるの……?







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