キミのための声







「よ、なかりさ!
今日は愛しの葵くんと
イチャイチャ出来たかっ?」




教室に入るなり、そう言って
これ以上ないというくらい
楽しそうな笑顔を向けてきたのは、
クラスメートの岡田 陽
(おかだ よう)である。




「はぁ~…なぁに?陽……
そんなの有り得ないって
分かってて言ってるでしょ?」



「そーんな溜め息つくなって☆
優しい俺様がそんなこと
するわけねぇだろっ!」



席に戻るあたしに
やっぱり楽しそうに着いてきて
バシッと背中を叩く。



結構、地味に痛かった。




「ちょっと陽、あんま
ふざけたこと言わないのっ!」



すかさず由香が
陽の頬をつねって一喝。



陽はそれに「いっててて」と
顔をしかめて、



「だ、だってよー、
なかりさと滝澤の関係
まじで意味不明じゃんっ」



「ち、ちょっと!
意味不明ってなにようっ!
あと、その『なかりさ』
って呼び方やめてってば!」



思わず席から立ち上がり
抗議する。




中山 愛梨沙だから



なかりさ


って



絶対おかしいよ!







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