コイビト未満


「え…そうなんですか?」

「うん…だから、多分勘違いしてると思う
だから三崎くんとは、多少の交流があるだけで…それ以外は沖田さんの思っているような事はないから」




今日、授業で当てた時の葵みたいに

凄く一言一言カタコトになりながら

下手な嘘をついた自分が情けなかった




私にとって葵は………

思っていることを全て本音でなんて言えない


それは、この子が真っ直ぐ葵に恋をしているから



それを、こんな上手く愛情を伝えられない不器用な年上のどうしようもない女が邪魔をしてるなんて




やっぱりダメだ




「そうなんですね、お兄さんと…

なんかすみませんでした。」


「ううん、こっちこそ余計な心配かけさせちゃってごめんね」




こんな下手くそな嘘に
沖田さんは納得したのか何なのか
さっきまで強張っていた表情が少し緩んだ様な気がした



恋をしているって、こういうこと



好きな人のことで、一喜一憂できて

それをちゃんと感情に出せて




それが恋してるってこと


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