コイビト未満
教材を抱えて沖田沙耶は教官室を出た
勉強を教えるより長かったこの事情聴取
やっとで終わった…
「あの、蓮見先生」
「ん?」
「………ありがとうございます」
それだけ言って、教室に戻って行った
ありがとうございます
どういう意味が込められた感謝なのだろう
葵と何も無くて、ありがとうって?
それとも、勉強教えてくれてありがとう?
どんどん増幅する、沖田沙耶への罪悪感
だから、必要以上に近寄りたくなかったのに
「ごめん先生また聞いちゃったー」
「…もう、ストーカー?」
「たまたまだって!ごめんごめん」
やっとで終わったと思ったら次は沖田沙耶との会話を聞いていた桐矢くんからの事情聴取が始まって
沖田沙耶との会話を聞かれていた
私の嘘も、全部