コイビト未満
「ハア!?」



居酒屋中に響く梨羽の声


どこでも梨羽は、リアクションが大きい



「あんたバカ?
びっくりだわー…呆れた」

「分かってる…でもあの子の顔見てるとやっぱり本当のことなんて言えなかったんだもん…」




さっきまで私がついていたため息を
今度は梨羽が代わりについてくれる





梨羽は私のために何か守るような言い方はしない

全てストレート

梨羽とも、それ以上も以下もない関係だから何でもストレートに言い合う


そんな梨羽からトドメを刺される



「それってさ、別に菜成の優しさではないと思うけど」

「え?」

「だって葵くんは菜成のことが大好きで、それを菜成も知っててお互い好き同士なのにわざわざ叶わない恋を後押ししてるのって、菜成ちょっと酷いことしてると思うよ」





言い返す言葉が見つからなかった

彼女のためと思ってついた嘘も


結局最後には傷つけることになってしまうって


何と無く感じてはいたけど


でもどこかで自分の心に鍵をかけて


自分の感情を殺した





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