コイビト未満
「懐かしい名前出してくるね…」
「悪い」
「いや、平気
そうなのかなーやっぱ…
私って本当ダメだなー…」
利根が不意に出した名前に
ズキッと胸を刺された
ずっとずっと心の隅っこにしまっていた過去
過去は、過去
そう割切っていても
どこかで記憶が目を覚ます時がある
スッと深呼吸をする
そして、ため息
「別に話さなくてもいい
それで俺は察せられるから
でもお前はいつも自分でどうにかしようとしすぎ
もう少しくらい甘えること覚えてみろよ」
いつも笑ってふざけてた利根と
こんな真っ直ぐ真剣な話をするようになって
大人になったんだなぁって…
少し切なくなる