コイビト未満
「あれ?蓮見先生?」
一人の世界に浸っていた
その感じていた風をシャットアウトするように耳に入ってきた声
「あ………桐矢くん
久しぶりだね」
「久しぶりー
何してんの?」
「いや…テストの空き時間だからちょっと涼みに……」
「そっかー先生も学生なんだよな。
何か変な言い回しだな”先生も学生”って」
実習以来の桐矢くん
正直ガツンと言われたあの時以来
正直イレギュラー過ぎる遭遇に気まずさがこみ上げる
「あれ…桐矢くんは学外研修じゃないの?」
「あーうん、ちょっと体調崩してて昨日まで休んでてさ
そのせいで行けなかったから学校でレポート提出よ。災難だね」
「そうなんだ…
体調はもう大丈夫なの?」
「おう。もう余裕」
ある程度の会話を交わしたあととは
少しお互いを意識しているような沈黙の空気が流れる
「なあ蓮見先生、ちょっと話せる?」