コイビト未満



少しの沈黙を破ったのは、桐矢くん



館内には人気は殆どない

このフロアに居るのは、私と彼だけ




「うん…なに?」

「いやー特にこれって言う訳じゃないんだけど…最近どうなの?」

「どうって?」

「分かってるくせに。葵だよ
ちゃんと向き合ってんの?あいつと」





桐矢くんの冷たい目

その瞳は
私の嘘を抱いた心を突き刺すような鋭さで


目を合わすことが出来ない






怖い、すごく怖い








「………忙しくてなかなか会えなくて」

「ふーん。連絡は?忙しくてもそれくらい返せるだろ?
あいつ笑いながら言ってたわ。また先生にスルーされてるって」



< 158 / 433 >

この作品をシェア

pagetop