コイビト未満


私が連絡を絶っていたこと
相当研修がつまらなかったこと
少々、いや、かなり御機嫌斜めな葵



「ちょ…あおい?」

「あーやっと菜成ー

まじで長すぎた。無理」

「んっ…」




葵から離れている間は


葵のことを忘れることができる

これからもずっとできる、そう思っているのに




目の前にいると、そんな理性は全て飛ばされてしまって




結局簡単に葵のものになる




だからダメなんだって、何度も何度もいい聞かせているのに




葵の全てが心地よくて



甘えてくる葵に甘えてしまう、ダメな自分




「離れようよ」

「嫌なの?」

「嫌…ではないけど…」

「じゃあいいじゃん」

「暑いし…」




後ろからぎゅっと抱きしめられるのが、安心して

一番好きで、満たされる





それだけでいい気がする




< 165 / 433 >

この作品をシェア

pagetop